2010年06月16日

【一筆多論】井伊重之 個別報酬開示は誰のため(産経新聞)

 菅直人内閣が発足し、景気が低迷する中で首相が打ち出した経済政策の実効性に注目が集まっている。とくに経済界では、民主党のこれまでの「反企業」姿勢がどう変わるかに期待をかけているようだ。だが、大きな政府を志向する政権だけにあまり期待はかけられない。これから本格化する「役員報酬の個別開示」の影響をみれば、企業に対する政府・与党の基本姿勢が改めて明らかになるだろう。

 政府は3月末、上場企業に対して一段の情報開示を義務付けた。とくに役員に年間1億円以上の報酬を支払う企業には、その氏名や報酬額を開示することを求めた。今年3月期決算から適用され、上場企業を中心に4500社以上が有価証券報告書に記載する仕組みだ。

 この役員とは取締役や執行役(執行役員は除外)のほか、監査役も対象となる。毎月支払われる基本報酬に加え、賞与や退職慰労金などの総額が1億円以上になれば、総額と項目ごとの金額も開示し、報酬の算定方法も明らかにする必要がある。

 これまでも役員報酬の総額は開示されてきたが、今回の改正で政府は1億円以上の個別報酬の公表を通じて株主や投資家らによる経営陣への監視を強め、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化を促す構えだ。

 米国では大手金融機関がリスクの高い証券化商品を大量に販売していた反省を踏まえ、自己勘定取引を制限するなどの金融規制法案が検討中だ。「米金融機関の経営者は多額の報酬を得るため、問題が多い金融取引に走った」(大手銀行幹部)とも指摘されている。金融庁では、こうした経営陣の行き過ぎを報酬の観点から抑制する仕組みとしても期待しているようだ。

 確かに情報開示は重要だ。投資家が上場企業の株式を購入する場合、経営陣の報酬額もひとつの判断材料になるだろう。しかし、それでも個人の報酬額より役員全体の報酬額がきちんと示されていれば十分ではないのか。大手コンサルタント会社のプライスウォーターハウスクーパースの調査によると、報酬が年間1億円を超える人は上場企業の全取締役のわずか1・4%にすぎないという。

 欧米と日本では経営陣の報酬体系は大きく異なる。それなのに欧米と同じような監視の仕組みを導入する必要があったのかは疑問だ。金融庁に対し、経済産業省は「すべての業種を対象にした義務化には問題が多い」と申し入れていた。日本経団連などの財界も一斉に反対する姿勢を示していたが、金融庁側は一蹴(いっしゅう)するなど、その検討過程も不透明だ。

 金融庁が公表の義務化にこだわったことについて、ある財界幹部は「『高額報酬をもらう人は悪い人』という偏見があるのではないか」と指摘する。高額報酬者が興味本位で報道されると、それが妬(ねた)みを助長し、ひいては「格差社会を是正せよ」というあらぬ批判を招く恐れも否定できない。

 政府はいま、成長戦略の策定を進めている。そこでは将来の有望産業を見定め、重点投資することで日本の成長の牽引(けんいん)役になることを期待している。それは新たに稼ぐ産業を育成することでもある。将来の稼ぎ手である経済界をあたかも「敵視」するような姿勢からは、決して何も生まれない。(論説委員)

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posted by トモダ ノボル at 10:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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